平成22年度第45回全国木材産業振興大会

平成22年10月14日

ご挨拶

大会会長

社団法人 全国木材組合連合会

会長 並木瑛夫

全国木材産業振興大会の開催に当たりご挨拶を申し上げます。

本日、第45回全国木材産業振興大会をここ札幌市において地元の関係者の皆様方のご尽力により、かくも盛大に開催できますことは、大きな喜びであり光栄であります。また、ご多用のなか、農林水産大臣、国土交通大臣、林野庁長官、北海道知事、北海道議会議長、札幌市長をはじめ、多くのご来賓のご臨席を賜り心から御礼申し上げますとともに、全国各地から参集いただいた多数の会員、友好団体の皆様に感謝申し上げる次第であります。

北海道は、豊かな自然環境、地域資源に恵まれ多様かつ魅力あふれる地域づくりが進められており、北の「大地」とのふれ合いを求めて実に多くの人々が訪れています。林業・木材産業につきましては、豊富な森林資源を背景に木材の生産加工が行われ全国の木材業界に大きな影響力をもっている地域であります。このような地で平成10年以来12年振りに、全国の木材産業関係者が会して、木材の利用促進、業界の振興方策・展望などについて確認し合い、それらを広く訴えていこうとする本大会が開催できますことは大変に意義深いものであります。

さて、わが国の経済情勢は円高・デフレ、雇用情勢の悪化など一段と厳しさが増してきています。昨年は住宅投資が冷え込み79万戸の新設着工実績にとどまり、木材需要量については63百万?と大幅に減少しました。我々は住宅減税、エコポイント制度措置ほか木材利用、木造住宅の各種対策などの政策効果により、住宅等木造建築物の着工や木材需要の回復が進むことを祈るような思いで期待していましたが、依然として明るい兆しを見いだし難く、地域経済の一翼を担う木材業界の事業活動は一層深刻度を増している状況にあります。先般、国は3段構えの経済対策を打ち出して第一ステップで92百億円の緊急的対応を措置しましたが、この対策の早期実行に加え更なる景気・経済対策が切れ目なく実現できるよう強く要請する次第であります。

農林水産省は、昨年12月に10年後の木材自給率50%を目標として「森林・林業再生プラン」を策定するとともに、それを実現するための具体的施策を鋭意検討して制度創設・改正や予算要求などへの反映を進めています。その第一弾として「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」がこの10月1日に施行されました。このような制度は我々木材業界が永年の間切望してきたところであり林業・木材業界の振興にとって大変に意義深いものであります。森林・林業再生プランの具体的施策につきましては、既に中間報告が行われ森林管理、木材の生産・加工・利用など様々な施策の展開方向が明らかにされています。また、この6月に閣議決定されました「新成長戦略」においては「森林・林業」が成長分野として位置づけされているところであります。木材の供給、利用を担う木材業界としては、これら施策の展開方向を踏まえて会員挙げて最善の努力をいたす決意でありまが、国、地方公共団体の効果的な対策について一層の充実強化をお願いする次第であります。

ところで、本大会は「新たな木材利用への挑戦で木材産業の創造的再興」をスローガンとしています。まさに、今、我々業界にとって最重要の取組課題は木材需要の回復・拡大です。木材及び木材産業は低炭素化社会の実現や地域経済の振興に大きく貢献するものであり、我々業界が維持発展しそれらの役割使命を十全に果たしていくためにも、「木材」「木質資源」を住生活空間はもとより公共施設・工事、商工業施設、バイオマスエネルギー、日常生活用などのあらゆる分野、用途への需要拡大・掘起しに対して果敢に挑戦していくことが緊要であります。併せて関係機関、建築関係者、需要・消費者との一層の有機的連携・協働を進めるとともに、引続き木材利用・木材産業の役割・意義について広く理解促進に努めていかなければなりません。そして同時に、木材マーケットに柔軟に対応できる木材供給体制、すなわち低コストで安全・安心の木材製品を安定的に供給できる体制を各地域で整えていくこと、特に品質・性能の明確なJAS製品、乾燥材の安定供給体制を構築することなど、これらにきちんと取組んでいくことが求められています。また、木質資源を活かした「排出量取引」や木材の環境貢献度を明らかにする「カーボンフット・プリント制度」などへの参画や合法木材の普及・供給促進に的確に対応していくことが必要であります。これらに的確に対処していくことにより、木材の実需拡大、木材産業の再興の展望が切り拓かれるものと確信いたす次第であり、全木連といたしましても皆様方と力を合わせて多くの諸課題の解決に向けた取組みに全力を尽くして参る覚悟であります。

木材業界は、現下の厳しい状況から抜け出るのに大変苦戦していますが、業界一丸となって努力を重ねてまいる所存でありますので、ご列席の関係行政機関、関係団体の皆様方には、これまでにも増してご指導、ご支援の程を切にお願い申し上げる次第であります。

最後に、本日、栄えある表彰を受賞される皆様に対し、長年のご精進とご労苦に深甚なる敬意を表しますとともに、心からのお祝いを申し上げます。

また、本大会の開催に当たりご支援、ご協力いただいた北海道木材産業協同組合連合会ほか関係者の皆様方に厚く御礼申し上げ、私の挨拶といたします。

平成22年10月14日

全木連webトップへ