廃棄物焼却炉に係る法規制の概要について(平成13年4月現在)

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の一部を
改正する法律」の施行について
(平成9年8月29日公布、平成9年12月1日施行)

(主な改正内容)
  1.施設の設置許可が必要な施設の範囲の拡大(施行令第5条、7条)
  ・木くず等の焼却施設
  現行:処理能力5t/日以上 → 改正:@処理能力200kg/時間以上
                                                                  A火格子面積2u以上

  2.技術管理者の設置対象の拡大(法第21条)
  設置許可対象の焼却施設を有する事業所については、技術管理者の設置が必要〔技術管理者の資格取得には、厚生大臣が認定する講習を終了することが必要(施行規則第17条)であり、講習会を実施している団体は、「日本環境衝生センター」〒210 神奈川県川崎市川崎区四谷上町10−6 TEL:044−288−4896 である〕

  3.焼却施設の構造・維持管理基準の強化(施行規則第1条の5、第4条)
   (1)構造基準の強化(主なもの)
  @*外気と遮断された状態で定量づつ連続的に廃棄物を燃焼室に投入できる定量供給装置の設置(但し、処理能力2t/時間未満の施設は免除)
    A次の要件を備えた燃焼室の設置
    ・外気と遮断 
      ・燃焼ガスの温度が800℃以上の状態で2秒以上の滞留(既設炉は免除)
    ・助燃装置の設置
    ・燃焼に必要な空気を供給できる設備の設置
    B*燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却できる冷却装置の設置
    Cばいじんを除去する機能を有する排ガス処理設備の設置
    D*ばいじんを焼却灰と分離して排出・貯留できる設備の設置
    E*集塵器に流入する燃焼ガス温度及び排ガス中のCO濃度を連続的に測定・記録する装置の設置
    (2) 維持管理基準の強化(主なもの)
    @*燃焼室への廃棄物の投入は、定量づつ連続的に行うこと
    A燃焼室中の燃焼温度を800℃以上に保つこと
    B焼却灰の熱しゃく減量を10%以下とすること
    C運転開始時には助燃装置を稼動させること等により、炉温を速やかに上昇させ、運転停止時には炉温を高温に保ち廃棄物を焼却し尽くすこと
    D 集塵器に流入する燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却すること
    E冷却設備等に堆積したばいじんを除去すること
    F排ガス中のダイオキシン濃度を次の基準以下とすること
   

焼却室の

処理能力

新設の基準

     既  設  の  基  準

H10.11

まで

H10.12〜 

   H14.11

 H14.12以降

 4t/h以上

0.1ngm3

基準の適用を

猶予

80ngm3

 1ngm3

 2t〜4th

 1ngm3

 5ngm3

 2t/h未満

 5ngm3

 10ngm3

G*燃焼ガス温度を連続的に測定・記録すること
H*排ガス中のCO濃度を100ppm以下にするよう燃焼すること
I*排ガス中のCO濃度を連続的に測定・記録すること
J排ガス中のダイオキシン類濃度を年1回以上測定・記録すること
注:*印は、既設炉は平成14年12月1日以降に適用 
 (3)違反者への罰則の強化
  @違反者に対し許可の取消、改善命令、使用停止命令を発動
  A @に従わなかった場合は、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金

4.処理基準の明確化(施行規則第1条の5ほか)
   施設の規模にかかわらず、廃棄物を焼却する際に遵守しなければならない処理基準を明確にした。なお、この基準に違反した場合は、改善命令等の対象となり、2の(3) のAと同様の罰則が設けられている。
(1)焼却設備の構造
  @空気取入口及び煙突の先端以外に焼却設備内と外気とが接することなく廃棄物を焼却できるものであること
  A燃焼に必要な量の空気の通風が行われるものであること 
 (2)焼却の方法 
  @煙突の先端以外から燃焼ガスが排出されないように焼却すること 
  A煙突の先端から火炎又は日本工業規格D8004に定める汚染濃度が25%を超える黒煙が排出されないように焼却すること 
  B煙突から焼却灰及び未燃物が飛散しないように焼却すること

 5.今回の法改正に伴い設置許可対象施設となった既存施設の経過措置(終了)
 既存施設については、平成10年2月28日までに所定の様式により、都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長)への届け出を行った場合、技術管理者の設置及び構造・維持管理基準の適用を1年間(平成10年11月30日まで)猶予(施行令附則第3条)されていた。

大気汚染防止法
   (施行規則等の一部を改正する総理府例)
   廃棄物焼却炉からのダイオキシン類の多くがばいじんに含有されていることを踏まえ、平成10年4月、廃棄物焼却炉に係るばいじん規制が大幅に強化された(平成10年4月10日公布、平成10年7月1日施行)
  

〔ばいじん(O2 =12%換算)〕
規制強化前
排ガス量 注2
(m3 N/時)一般排出基準特別排出基準
連続炉4万以上0.150.15
4万未満 0.500.15
連続炉以外 0.500.25


改正後(現在)
処理能力新設既設測定義務
(H10.7〜)(H12.4〜)
4t/時以上0.040.082ヶ月に1回以上
2−4t/時以上0.080.15年2回以上
2t/時未満0.150.25年2回以上


注1:単位g/Nm3
注2:地域を限って新設施設に適用される基準

〔同法によるばいじん以外の規制〕
〇有害物質(O2 =12%換算)

物     質

排出基準

測定義務

塩化水素

700mg/Nm3

2回以上

窒素酸化物

(排ガス量4万Nm3/H以上に適用)

250PPM

2回以上

 

 

 

 

 

〇硫黄酸化物(SOx)              K値規制
〇ダイオキシン類(DXNs)  廃棄物の処理及び清掃に関する法律参照


水質汚濁防止法  →総排水量が50m3/日以上の場合(水質基準)
下水道法  →公共下水道へ一定量以上を継続して排水する場合(水質基準)
悪臭防止法  →焼却炉との関係では、木材では問題がない。また、悪臭物質は最高                                730℃以上になれば全て熱分解するので、燃焼温度が熱分解温度を                                 越える構造・機能を有している焼却炉であれば問題はない。
騒音規制法  →工場又は特定施設(定格出力7.5kw以上の送風機が設備されている焼                               却炉・集塵装置)を設置する場合、届出と規制値が定められている。
消防法  →焼却炉の設置は火災予防上、建築物などから、安全な距離を保つことが定                       められており、据付面積2m2以上については、設置の届出が義務化。
建築基準法  →高さ6mを越える工作物(煙突)
労働安全衛生法  →水缶式焼却炉で温水を利用する場合、一定の規模以上は労働基                                     準監督署長にボイラーとしての届け出を行い、取扱い者は技能特                                           別教育等が義務付けられている。

ダイオキシン類対策特別措置法施行令等の概要

事  項

政   令   概   要

特定施設

ダイオキシン類を大気中に排出する施設

 

 

次の一定規模以上の施設であって、次の施設

 @焼結鉱の製造の用に供する焼却炉

 A製鋼の用に供する電気炉

 B亜鉛の回収の用に供する焙結炉等

 Cアルミニウム合金の製造の用に供する焙結炉等

 D廃棄物焼却炉

Dの一定規模以上とは、火床面積0.5u以上又は焼却能力50kg/時以上のものをいう。

(ただし、この規模は、2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合、その面積又は能力の合計値となる)

→施行(平成12年1月15日)後、30日以内に都道府県 

 知事等に届け出が必要

ダイオキシン類を含む汚水又は廃液を排出する施設

@硫酸塩パルプ(クラフトパルプ)等の製造の用に供する塩素又は塩素化合物による漂白施設

A廃棄物焼却炉に係る施設のうち、

排ガス洗浄施設 

湿式集じん施設

 ハ 灰の貯留施設(汚水又は廃液を排出するものに限る)

基準の設定

耐容1日摂取量

(TDI)

4ピコグラムと規定

 排出基準

(都道府県が定める)

都道府県が、自然的社会的条件から定める特別の区域においては、国より厳しい許容限度を定める排出基準を定めることが可

設置者による測定

大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、毎年

1回以上、総理府で定める方法により、排出ガス又は排出水

に含まれるダイオキシン類の量を測定

また、ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻に含まれるダイオ

キシン類の量について、厚生省令で定める方法で測定

対象地域の指定要件

対策計画の内容

都道府県知事は、土壌のダイオキシン類による汚染の除去等

を行う地域を指定し、土壌の除去に関する事業実施の方法(地

域、内容、事業費等)・期間を定める対策計画を定めること

を規定

施行期日

平成12年1月15日

関係政令の整備に関する政令案要綱として、廃掃法施行令の一部改正により、

  1. 廃棄物焼却炉である特定施設から排出されるばいじん、燃え殻等(ただし、厚生省令で定 める基準を超えるもの)を特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に加えること

Aばいじん又は燃え殻の埋立処分を行う際の飛散及び流出防止等を定めること

等が規定

 

ダイオキシン類対策特別措置法・ポイント事項の整理 

特定施設の定義(法律第2条第2項)
工場又は事業場に設置される施設のうち、製鋼の用に供する電気炉、廃棄物焼却炉その他の施設であって、ダイオキシン類を発生し及び大気中に排出し、又はこれを含む汚水若しくは廃液を排出する施設で政令で定める もの。

耐容一日摂取量(法律第6条第1項)
ダイオキシン類が人の活動に伴って発生する化学物質であって本来環境中には存在しないものであることにかんがみ、国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量は、人の体重1キログラム当たり4ピコグラム以下で政令で定める 値。

環境基準(法律第7条)
政府は、ダイオキシン類による大気、水質(底質)、土壌の汚染に係る環境上の条件について、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定める。

排出基準(法律第8条)
排出基準は、特定施設に係る排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の排出の削減に係る技術水準を勘案し、特定施設の種類及び構造に応じて、総理府令で定める

都道府県によるより厳しい排出基準の設定(法律第8条第3項、第4項)
都道府県の区域のうち、その自然的社会的条件から判断して、人の健康を保護することが十分でないと認められる区域があるときは、区域の範囲を明らかにして、排出ガス、排出水に含まれるダイオキシン類の量について、政令で定めることにより、条例で、国の排出基準に代えて適用すべき排出基準で定める許容限度より厳しい排出基準を定める ことができる。

総量規制基準(法律第10条)
都道府県知事は、特定施設が集合している地域で、大気の汚染に関する基準の確保が困難であると認められる地域で政令で定める地域(指定地域)では、大気中に排出されるダイオキシン類について、総量削減計画を作成し、総理府令で定めるところにより、総量規制基準 を定めなければならない。

特定施設の設置の届出(法律第12条)
特定施設を設置しようとする者は、総理府令で定めるところにより、都道府県知事に届け出

経過措置(法律第13条)
一の施設が特定施設となった場合、その施設を設置している者は、30日以内に 、総理府令で定めるところにより、都道府県知事に届け出。

計画変更命令等(法律第15条、第16条)
・ 都道府県知事は、届出のあった特定施設から排出される排出ガス、排出水に含まれるダイオキシン類の量が排出基準に適合しないと認めるときは、届出を受理した日から60日以内に限り、届出者に対し、特定施設の構造、使用の方法、発生ガス、汚水、廃液の処理の方法に関する計画の変更又は廃止 を命ずることができる。
・ 大気基準適用施設から排出されるダイオキシン類の量の合計値が、総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から60日以内に限り、設置者に対し、発生ガス処理の方法の改善その他必要な措置を命ずることができる。

排出の制限(法律第20条)
排出者は排出基準に適合しない排出ガス、排出水を排出してはならない。
また、一の施設が特定施設となった際、現にその施設を設置している者に関しては、当該施設が特定施設となった日から一年間は適用しない

総量規制基準に係る排出の制限(法律第21条)
総量規制基準適用事業場において、大気中に排出ガスを排出する者は、設置されているすべての施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計値が総量規制基準に適合しない排出ガスを排出してはならない。

改善命令等(法律第22条)
都道府県知事は、排出者が、その設置している大気、水質基準適用施設の排出口等において、排出基準に適合しない排出ガス、排出水を継続して排出するおそれがあると認めるときは、期限を定めて特定施設の構造、使用の方法、発生ガス、汚水、廃液の処理の方法の改善を命じ、又は施設の使用の一時停止 を命ずることができる。

事故時の措置(法律第23条)
特定施設を設置している者は、特定施設の故障、破損その他の事故が発生し、ダイオキシン類が多量に排出された場合は、直ちにその事故について応急の措置を講じ、かつその事故を速やかに復旧するように努め、都道府県知事に通報 しなければならない。
また、都道府県知事は、事故に係る特定事業場の周辺区域の人の健康が損なわれ、また損なわれるおそれがあると認めるときは、その事故に係る者に対し、事故拡大の防止又は再発防止のため必要な措置 を命ずることができる。

廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理(法律第24条)
廃棄物焼却炉である特定施設から排出されるばいじん、焼却灰その他の燃え殻の処分を行う場合は、含まれるダイオキシン類の量が厚生省令で定める基準以内 (はいじん及び焼却灰その他の燃え殻1gにつき含まれるダイオキシン類3ng以内→但し、この法律の施行時点で既に設置されている施設については、平成14年11月30日までの間は適用しない。)となるように処理しなければならない。

廃棄物の最終処分場の維持管理(法律第25条)
総理府令、厚生省令で定める基準 に従い、最終処分場の維持管理をしなければならない。廃掃法の規定を適用する。

ダイオキシン類による汚染の状況に関する調査等
・都道府県知事による常時監視(法律第26条)
・都道府県知事による汚染の状況についての調査測定(法律第27条)
政令により、設置者による毎年1回以上 の測定(法律第28条)
@排出ガス、排出水の測定、Aばいじん、焼却灰その他の燃え殻、B結果の知事への報告

対策地域の指定(法律第29条〜32条)
都道府県知事は、ダイオキシン類による土壌の汚染の状況が基準を満たさない地域であって、当該地域内のダイオキシン類による土壌汚染の除去等をする必要があるものを対策地域(指定要件は政令による)として指定することができる。
指定したときは、政令で定めるところにより対策計画を定めなければならない。

ダイオキシン類排出削減のための国の計画(法律第33条)
内閣総理大臣は、我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画を作成

報告及び検査(法律第34条)
環境庁長官又は都道府県知事は、必要な限度において、設置者に対し、政令で定めるところにより、特定施設の状況その他の必要な事項の報告を求め、又はその職員に、特定事業場に立ち入り、特定施設その他の物件を検査させることができる。

罰則(法律第45条〜50条)
@ 「計画変更命令等」(法律第15条、第16条)、「改善命令等」(法律第22条)に違反した者(1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。)
A「排出の制限」(法律第20条)、「総量規制基準に係る排出の制限」(法律第21条)の規定に
  違反した者(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。過失の場合は、3月以内の禁固又は30万円以下の罰金に処する。)
B「事故時の措置」(法律第23条)の命令に違反した者(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。)
C「特定施設の設置の届出」(法律第12条〜14条)(12条〜13条は3月以下の懲役又は30万円以下の罰金)、「報告」(法律第34条)の規定の届出(報告)をせず、又は虚偽の届出をした者等(13条、17条、34条は20万円以下の罰金。)
・ @〜Bの場合、違反行為が行われた日から3月以内に都道府県知事が当該違反行為に係る施設に関し、命ずる職員に立入検査をさせ、総理府令で定める方法により測定した結果が、排出基準又は総量規制基準に適合しない場合に限り 、当該違反行為をした者を罰する。

ダイオキシン類に係る特定施設及び排出基準値

注:ダイオキシン対策特別措置法に基づく、対象施設(一時間当たり処理能力50kg以上、又は火床面積0.5u以上)の都道府県知事への届出は、廃棄物処理法(廃棄物と清掃に関する法律)で既に届でのある焼却炉(一時間当たり処理能力200kg以上、又は火格子面積2u以上)についても届出が必要となります。(根拠となる法律が違うため)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の概要

1 改正の趣旨
  今回の改正は、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)附則第3条において、「政府はダイオキシン類の発生過程における特性にかんがみ、小規模な廃棄物焼却炉の構造及び維持管理に関する規制の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」とされていたことから、生活環境審議会廃棄物処理部会ダイオキシン対策技術専門委員会において、小規模焼却炉の構造基準を定めることが必要であるとの議論があり、今回、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則を一部改正し、廃棄物を焼却する焼却設備の構造基準について所要の改正が行われたものである。

2 公布・施行
  公布日及び施行日については、平成13年3月26日に公布され、施行日は平成14年12月1日 とされた。
  施行日が平成14年12月1日とされたのは、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく火床面積0.5u以上又は焼却能力50kg/時以上の焼却施設に係る排出基準及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく火格子面積2u以上又は焼却能力200kg/時以上の焼却施設に係る技術上の基準等が変わる日に合わせたものである。

3 主な改正内容(下線部分が改正部分)
  同施行規則第1条の7で定める廃棄物を焼却する焼却施設の構造基準を次のとおりとする。(火格子面積2u未満又は焼却能力200kg/時未満の小型焼却炉を含めてすべての焼却施設に適用)
 
  (1)「空気取入口及び煙突の先端以外に焼却施設内と外気とが接することなく、燃焼室において発生するガス(以下「燃焼ガス」という。)の温度が摂氏800度以上の状態で、廃棄物を焼却できるものであること。」
  (解説) 常時800度で燃焼し得る構造ではなく、800度以上で耐え得る構造であれば足りる。
  (2)「燃焼に必要な量の空気の通風が行われるものであること。」
  (3)「外気と遮断された状態で、定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができるものであること。(ガス化燃焼方式その他の構造上やむを得ないと認められる焼却設備の場合を除く。)」
 (解説) 構造上やむを得ないと認められる焼却施設には、連続投入装置の無いバッチ式の炉が含まれる。
  (4)「燃焼室中の燃焼ガスの温度を測定するための装置が設けられていること。」
  (解説) 記録紙への記録等の装置は必要でない。
  (5)「燃焼ガスの温度を保つために必要な助燃装置が設けられていること。」
  (解説) 着火バーナーが付いていれば良い。
 
  (注) (解説)  は、林野庁が環境省担当部局から聴取した当該構造基準に関する解釈。
 

労働安全衛生法施行規則の一部改正について
(平成13年4月25日公布、同6月1日施行)

  厚生労働省は、廃棄物焼却施設(炉)を設置している事業場における労働者のダイオキシン暴露防止策を強化するため、労働安全衛生規則を一部改正することを予定していた。
  これに対し全木連は、林野庁と連携して次の理由から「製材工場は適用除外」にするよう要望するとともに、木材・林産関係国会議員に陳情し、対応した。
  @ 木くず類を焼却してもダイオキシンはわずかしか出ないこと
  A 一般に製材工場の焼却施設は、屋外に設置されており常に外気にダイオキシンが拡散されること
  B 常時焼却炉の付近で労働者が作業を行うことはないこと
  最終的には、次のとおり措置されました。
 
  1 改正の趣旨
   労働者の健康障害を防止するため、中央労働審議会の答申を踏まえ、廃棄物の焼却施設に係る作業について、危険又は有害な業務とその業務を行う際に必要な措置を、労働安全衛生規則の一部改正により定められたものである。
 
  2 公布・施行
    平成13年4月25日に公布され、平成13年6月1日から施行される。
 
  3 主な改正内容
  (1)危険又は有害な業務として次の業務などを追加。(第36条関係)
    ア 廃棄物焼却炉(火床面積0.5u以上又は焼却能力50s/時以上の廃棄物焼却炉)を有する 廃棄物の焼却施設(以下「廃棄物の焼却施設」という。)におけるばいじん及び焼却灰その他の燃え殻の取扱いの業務
    イ 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉又は集じん機等の設備の保守点検等の業務
  (2)事業者は、(1)の業務を行う作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、空気中のダ イオキシン類の濃度の測定をしなければならないこととされた。(第592条の2関係)
  したがって、同衛生規則施行後6ヶ月は、測定を実施しなくても法違反とならない。
  また、この測定方法については、平成13年4月25日付け基発第401号の2都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策について」の「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」(以下「対策要綱」という。)により、次のアの全ての条件を満たす焼却施設を有する製材業者などについては、測定が次のイのとおり簡略化された。(対策要綱第3の2の(2)のア 別紙1関係)
  ア 測定簡略化の対象となる焼却炉
  (ア)ダイオキシン類特別措置法第28条の規定により、ばいじん及び焼却灰その他燃え殻のダイオキシン類を測定した結果が3000pg-TEQ/g-dryより低いこと。
   ※ ダイオキシン類特別措置法第24条第1項の規定により、廃棄物焼却炉において処分 を行うばいじん及び焼却灰その他燃え殻に含まれるダイオキシン類の量の基準は、3000pg-TEQ/g-dryと定められている。(イ)屋外に設置された焼却炉であること。
(ウ)単一種類の物を焼却する専用の焼却炉であること。
  イ 簡略な測定方法
  上記アの条件を満たす製材所等の焼却炉については、次のとおり簡略化した測定を行うことができる。
  (ア)焼却炉に係る標準的なD値(空気中の総粉じん量から空気中のダイオキシン類濃度を算出する換算値)が、同衛生規則施行後速やかに測定され示されることとなっている。
  (イ)各事業場では、デジタル粉じん計により、灰の掻き出し作業時の総粉じん量を測定し、その測定値と換算係数D値に基づいて気中ダイオキシン類濃度を算出する。
   デジタル粉じん計については、林業・木材製造業労働災害防止協会(以下「協会」という。)の各支部又は分会及び産業保健推進センター(労働福祉事業団が全国の都道府県に設置)で無料で貸出しを実施しているが、詳しくは協会に照会されたい。
  (3)事業者は、(1)の業務に係る作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う作業場におけるダイオキシン類を含む物の発散源を湿潤な状態のものとしなければならないことなどとされた。(第592条の4関係)
  (4)事業者は、(1)の業務に係る作業に労働者を従事させる場合にあっては、(2)によるダイオキシン類の濃度の測定結果に応じて、当該作業に従事する労働者に保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を使用させなければならないことなどとされた。(第592条の5関係)
  この場合、炉外における灰出し・保守点検作業等を行う場合に使用させる保護具等の区分は、(2)によるダイオキシン類の濃度測定結果が1pg-TEQ/m3未満の場合は、防じんマスクなどの着用(レベル1)などとされた。(対策要綱第3の1の(6)のイ 別紙3,4関係)
  (5)(1)の業務に係る作業に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、特別の教育を行わなければならないこととされた。(第592条の7関係)
 
  注:上記のD値を知るために、製材工場等のモデル的焼却炉5検体を選び、その粉じん量とダイオキシン類の量を測定し、D値を確定する。このD値を確定するための測定経費(1検体30万円)の負担については、今後、全木連において検討することとしております。