このページを  保存  お気に入りへ  印刷

第39回全国木材産業振興大会

会長挨拶


平成16年10月28日
於:東京「イイノホール」

 

第39回全国木材産業振興大会の開会にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

 

 本大会を、第36回大会に引続き、ここ東京において全木連・全木協連主催のもと、かくも盛大に開催できますことに心から感謝申し上げます。また、公務ご多端のなか、農林水産大臣、国土交通大臣、林野庁長官、日本林業協会会長をはじめ、多くのご来賓のご臨席を賜りますとともに、全国各地から多数の会員、友好団体の皆様をお迎えできましたことは、誠に光栄に存じ、厚く御礼申し上げます。

 

先ず始めに、今年の記録的台風の襲来による全国的な災害により、また先般の新潟中越地震による災禍により、多くの尊い生命・財産が失われましたことに、心からお悔やみ申し上げますとともに、被害にあわれた方々の一日も早い再起と地域社会の生活基盤の復興を祈念してやみません。

 

ここ東京は、私の活動拠点であります木場を中心に古くから木材の集散地として、全国の林業・木材産業の情報基地として、重要な役割を果たして参りました。今後も、首都圏の木材需給を背景として、内外の木材需給に関する情報基地として、また木の文化継承の地としてその役割を果たしていかなければならないと考えております。

 

昨年の大阪大会では、木材不況からの脱却を願って、「改革・創造・挑戦のさらなる継続」という命題に向け、「木材産業の構造改革」、「住宅減税の拡充」、「JAS製材品の普及」、「公共施設への木材利用等木材需要の拡大」、「森林の育成・木材利用の推進」、「違法伐採材拒否とWTO関税堅持」などをスローガンに掲げ、行政による各般のご支援を得つつ、業界は自助努力を続けて参りました。

 

この1年間、我が国の経済は、長引くデフレのなかで、好調な外需に支えられて緩やかに回復しているという政府見通しがありました。当初の予想では本年度の実質GDPは、対前年比プラス1.8%程度になると見込まれていますが、失業率は依然として高水準で推移し、石油価格の値上がりや、公共投資に依存してきた地域経済の低迷等今後の景気回復に不安定な要素も見られます。このため地域や業種によって景況感が大きく異なり、木材業界は、まだまだ景気回復の実感がない状況が続いております。

 

事実、新築住宅着工数は今のところ前年をやや上回るペースで推移しており、木材需要もやや改善の兆しが見えてきておりますが、材価は依然として低迷を続けています。これが木材業界のみならず、地域の森林・林業にも大きな影響を与えています。もちろん木材流通業も同様に、木材流通構造の変化と価格の低迷の両面で苦しんでおります。

 

さて、地球温暖化防止を掲げた京都議定書の目標達成のため、新たな税制が検討されておりますが、全木連としましてもその実現に全面的に協力して参ります。併せてCO2吸収源対策としての木材利用についても、積極的に取組んで参ります。木材生産と利用を通じた活発な林業経営が、健全な森林の育成にとって重要であり、循環型社会の形成に寄与することになります。そのためには木材の利用推進の担い手として、また地域経済の牽引者として木材産業の果たす役割は大きく、その活性化が喫緊の課題であります。

 

一方、「衣食住」は、市民生活の基本でありますが、食品の例で見られるように、供給者に対し、公正な情報の公開と、安心・安全な製品の提供が強く求められています。住宅の部材提供を担当する木材産業に対しても同様に、取扱う製品の説明責任を果たすことが、いわゆる「企業の社会的責任」(CSR)を全うするうえ必要であります。

 

こうした観点から、木材の利用推進にとって重要な点は、環境、健康に優しい自然素材であるという木材固有の特性に加えて、住宅部材として品質性能の優れた、施工性の高い木材製品を、品質・規格、産地などを明確に表示して安定的に供給できる体制を整備することであります。

 

業界を取り巻く状況はまだまだ予断を許しませんが、木材業界は森林・林業のよきパートナーとして、また地域の数少ない産業として、業界一丸となってこの苦境を乗り切ってまいる所存でありますので、ご列席の関係行政機関、関係団体の皆様の一層のご支援とご協力を切にお願い申し上げます。

 

終わりになりましたが、本日、栄えある表彰を受賞される方々には、長年にわたるご精進とご労苦に対し深甚なる敬意を表しますとともに、心よりお祝い申し上げます。

 

最後に、本大会の開催にあたり、全面的にご支援、ご協力いただいた東京都木連の皆様方に厚く御礼申し上げ、私のご挨拶といたします。

全木連webトップへ