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第65回全木連通常総会・理事会における全木連会長挨拶


平成21(2009)年3月25日
社団法人全国木材組合連合会
会長 並木 瑛夫

 

 会議の開会に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は全木連理事会・総会に皆様方ご多忙な中でご参集いただき有難うございます。
 さて、わが国の産業・経済界は、世界的な金融危機により景気が急速に後退するなど深刻な経済環境に陥っています。平成20年の新設住宅着工戸数は、建築基準法施行の影響も薄まって増加するのではないかと期待していましたが、実績は景気後退の影響等にあり109万戸程度にとどまっています。景気後退より住宅投資意欲が大幅にしており、業界の先行きが大変に心配されているところであります。
 昨年秋に全木連、全協連主催で「新たな木材利用への挑戦で木材産業の再興」というスローガンを掲げて全国木材産業大会を開催し、その際、緊急の「特別決議」として林業・木材産業のセーフティネット対策の実現等の決議を採択しました。全木連では、これを受けて緊急総合対策、追加経済対策や21年度政府予算案、税制改正等において、それらに係る施策の実現を関係方面に対して働きかけを強力に実施してきたところであります。国にありましては、我々のこのような要請を受止めていただき、二次にわたる補正予算、21年度予算案において、中小企業信用保証制度及び林業・木材産業の保証制度の充実対策、原料転換や中小工場連携等促進のための木材産業総合対策、公共施設への木材利用推進対策などが措置されたところであります。また、税制改正では大幅な住宅減税対策等などが実現し、我々が念願しているカーボンストック減税につきましても具体化に向けて一定の道筋が開ける結果となりました。これら諸対策の実施を通じて木材業界の景況回復が図られることを強く念願する次第であります。全木連としましては、今後とも業況改善につながる諸対策の実現などに全力を挙げて取組んでいく考えであります。
 ところで、業界の展望を切り拓いていくには、我々がスローガンに掲げている「新たな木材利用への挑戦」は果敢に取組んでいくことが重要であります。今、この木材利用に関する注目すべき様々な動きがあります。いくつか申し上げますと、昨年12月に成立した長期優良住宅の普及促進に関する法律で、国産材の利用推進に配慮していくことが明らかにされ、また、国会においては議員立法で木材利用の促進に関する法制度を創設していく検討が進められています。また、この2月末には住宅、木材に関係する産、官、学が参加した(これは私自身も発起人となっていますが)「住宅・建築物における木材利用促進フォーラム」が発足し様々な活動が始められようとしています。さらに、温暖化対策に関連して木質バイオマスを利用した場合も含めた排出権取引の開始、木材利用した製品・商品に炭素排出量を表示していく「見える化」運動の検討なども進められています。そうした中で、我々業界自身がそのような制度、諸対策等の枠組み、動きをきちんと受止めて、新たな木材利用の取組展開を、行政機関や関連業界、ユーザー等との連携の下に進めていくことであります。全木連としましても、このような方針で取組みを強化していくことが重要であります。
 また、「木材産業の再興」には「新たな木材利用の挑戦」に加えて「木材消費者・需要者重視の木材供給・加工体制の整備」が欠かせません。とりわけ品質性能、木材産地などを明確にした製品、合法性の証明された木材製品、JAS製品、乾燥材を安定的にしっかりと供給をしていく体制を整えていくことが必要であります。また、木材輸入環境の変化に対応した原料転換対策や全国の各地で必死に事業展開してこられている中小製材工場対策等が大きな課題となっています。これらは林野庁の21年度予算において措置されており、全木連としましても、その活用・連携に取組んでいきたいと考えています。
 違法伐採に対する取組みは、この3年間で認定団体、認定事業者等々の整備が進み、これからは新たな段階の取組み、すなわちマーケットにおいても合法木材の一層の理解促進と実需拡大、信頼性のある合法木材供給体制整備の着実な進化に向けた取組みを進めて参る考えであります。全木連のJAS関係業務につきましては、この3月からは既に発足している「有限責任中間法人全国木材検査・研究協会」に全面的に移行することになっています。検査事業に長い間ご協力・ご理解をいただきました皆様方には感謝とお礼を申し上げる次第であります。
 労働災害の防止の件ですが、来年度からの労災保険料率は皆様方の協力により、18/1000から15/1000に引下げられることになりました。皆様方のご協力に感謝いたします。
 木退協につきましては、加入者の減少が続いています。このままでは制度の維持に影響がでかねません。なにとぞ皆様のご協力をいただき、是非とも加入者獲得をお願いする次第であります。
 本日の会議は、平成20年度補正予算及び決算見込、並びに21年度事業計画及び収支予算案その他についてご審議いただくことになっています。限られた時間内ではありますが、十分なご審議をお願いします。
 以上、申し上げて冒頭の挨拶とします。

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