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年 頭 の ご 挨 拶


社団法人全国木材組合連合会
会長 並木瑛夫

 

 あけましておめでとうございます。皆様方には、本会の運営に格別のご理解、ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、昨年来のわが国の経済は、世界的な金融危機などの影響を受けて景気後退が加速するなど深刻度が増してきています。木材需要の太宗を占める住宅の着工戸数につきましては、一昨年の改正建築基準法等の影響は薄まってきたものの、景気後退の影響による住宅投資意欲の減退が大変に心配されています。このような中で、昨年の木材業界は依然として厳しい状況が続いた一年でありました。
 昨年の10月に「新たな木材利用への挑戦で木材産業の再興」というスローガンを掲げて全国木材産業大会を熊本市で開催しましたが、その際、緊急の「特別決議」として@木造住宅等の着工増対策、A林業・木材産業のセーフティネット対策等の実現を採択し、政府・与党等に強力に働きかけを実施してきたところであります。「緊急総合対策」は既に実施に移されていますが、昨年10月末には政府・与党等会議で「生活対策」が決定されて、これに対応した追加経済対策が打ち出されていました。この「生活対策」には、木材業界が要望している中小企業対策、住宅の着工増対策、セーフティネット対策などが盛り込まれており、21年度政府予算案に計上されている木材産業総合対策なども含め、その早期実現・実施を強く期待するものであります。このような国等の諸対策の実施や我々業界の限りない各種取組努力を通じて木材業界の景況回復が図られることを強く念願する次第であります。
 ところで、我々業界の展望を切り拓いていくには「新たな木材利用への挑戦」と「消費者・需要者重視の木材供給・加工体制の整備」が必要であります。木材利用に関しては、これまでも人々の生活・住空間に木の良さをもっと活かしていただくよう「木づかい運動」を始め様々な取組みに努力しているところであります。そうした中で、昨年秋の国会で成立した長期優良住宅関連法では、国の基本方針で国産材その他の木材を利用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮する、といったことが明文化されるなど我々木材業界にとって大変に意義深い動き、制度創設が進められています。また、カーボンストック減税の検討、温暖化対策に関連して木質バイオマスを利用した場合も含めた排出権取引の試行の開始、木材を利用した製品・商品に炭素排出量の表示「見える化」運動の検討の開始なども進められています。こうした動き等を踏まえて、木材利用の拡大をより現実のものにしていく新たな取組の展開を行政機関や関連業界、ユーザー等との連携をより深めつつ進めていく必要があります。
 「消費者・需要者重視の木材供給・加工体制の整備」につきましては、品質性能、木材産地などを明確にした製品、合法性の証明された木材製品、中でもJAS製品、乾燥材を安定的にしっかりと供給をしていく体制をきちんと整えていくことが重要であります。また、北洋材等木材輸入環境の変化や消費者の国産材志向の高まりを踏まえて関係者の連携も含めてその対応も課題となっています。
 違法伐採に対する取組みは、この3年間で認定団体、認定事業者等々の整備が進み、これからは新たな段階の取組み、すなわちマーケットにおいても合法木材の一層の理解促進と実需拡大、信頼性のある合法木材供給体制整備の着実な進化に向けて一層努力して参る考えであります。また、全木連のJAS関係業務は、この3月からは既に発足している「有限責任中間法人全国木材検査・研究協会」に全面的に移行することになっています。検査事業に長い間ご協力・ご理解をいただきました事業者、関係機関の皆様方には感謝とお礼を申し上げるとともに、円滑な移行ができるよう全木連としても最大限の努力をしたいと思っています。また、JAS製品供給体制整備については、木材業界にとって重要であると考えており、今後とも、その促進についての取組みを進めて参る考えであります。
 厳しい中でありますが、本年も木材業界の未来を切り開くための諸対策の推進に努力したいと考えておりますので、どうぞ引き続き皆様方のご支援とご協力をよろしくお願い致します。
 終わりに今年は皆様方にとって良い1年となりますようご祈念申し上げご挨拶といたします。

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