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平成15年度ものづくり白書(製造基盤白書)


   

 

経済産業省・厚生労働省・文部科学省は連携して、平成15年度ものづくり白書(製造基盤白書)を策定し、公表されましたのでお知らせいたします。

近年、話題となっているセル生産方式の事例なども紹介されています。

〔情報掲載URL〕

http://www.meti.go.jp/report/data/g40601aj.html

 

 

平成15年度ものづくり白書(製造基盤白書)のポイント

〜攻めに転ずる我が国製造業の新たな挑戦と製造基盤の強化〜

 

第1章 グローバル展開と国内基盤の強化に取り組む我が国製造業

○ 我が国製造業の概況
〜我が国の製造基盤を活かした研究開発がもたらす「よい循環」

  • 雇用や中小企業の回復の遅れなどがあるものの、我が国製造業は生産が2002年以来回復傾向にあり、企業収益も2002年下期から増益を継続。
  • 現下の景気回復には、デジタル家電などの分野において、完成財メーカーと裾野の広い部素材産業とが一体となって取り組んだ研究開発によって製品を創出して、新たな需要を喚起し、企業収益、さらには新たな研究開発・設備投資を生み出した「よい循環」が寄与。

○製造業のグローバル化・中国における事業展開と国内事業環境
〜中国事業展開により拡大しつつあるメリットと留意すべき課題

  • 中国経済は、2003年においても、9.1%の経済成長を実現。我が国製造業企業は、対中直接投資を拡大するとともに、資本財や基幹部素材等を中国に輸出し、我が国の製造基盤の強みを活かした工程間の分業を発展。
  • その一方で、中国経済の発展とともに原材料価格等は国際的に上昇。また、中国経済そのものについても、人民元、エネルギー不足、税制等の施策の不透明性、知的財産の侵害、技術ノウハウの流出等に関する課題があり、こうした点への対処も必要。
  • 我が国製造業企業は、部品・素材製造企業と組立加工企業との連携による迅速な製品開発や新しい生産機械・技術の導入といった面で優位性を有する。また、最先端商品を評価し、需要が顕在化する国内市場があることも有利。デジタル家電については、こうした我が国製造業の優位性を活用。

○新たな発展の時代に向けた我が国製造業の取組
〜競争力・収益力の向上に向けた企業改革・革新努力の継続

  • 今後の我が国製造業の取り組みとして、以下が重要。
    (1)事業展開の選択と集中、事業再編や適切なグローバル展開など戦略的な事業展開
    (2)技術開発の拡充・効率化、デザイン・ブランド力の強化、知的財産保護や標準化の取組
    (3)企画開発・生産・物流プロセスの革新
    (4)国内生産回帰・活用
    (5)環境問題への対応
    (6)競争力強化の取組を支える高度専門人材の育成
  • 一部の中小製造業においては、顧客への直販により、売上や利益率を向上させ、商品企画力や需要動向への対応力を高めている例もみられる(例:いまばりタオルブティック)。

第2章 明日のものづくりを支える人材の育成

○ものづくりを支える人材の雇用・労働の現状
〜雇用はこのところ横ばいだが、新規入職者数減で、高齢化が急速に進展

  • 景気が着実に回復し、製造業の設備投資が増加する中、2003年の製造業の雇用は新規求人が増加傾向、雇用者数は下げ止まり傾向で雇用はこのところ横ばい。
  • 新規学卒入職者数は、一旦落ち込んだ大企業が回復しつつあるものの、中小企業は減少し、全体でピーク時の半数以下。また、就業者に占める55歳以上の割合は全産業を下回っているものの、他産業を上回る速度で高齢化が進展。
  • 労働災害の死亡者数は、全産業において対前年比で減少するも、製造業では爆発・火災などで増加。

○ものづくりを支える人材育成の取組と課題
〜人材の能力低下懸念、技能継承の危機感に対応した積極的な人材育成の取組

  • 製造部門の人材の能力低下懸念のため、企業ではOJT,Off-JTなどの教育の充実に取り組んでいる。人材育成に力を入れている企業ほど売上高が増加している割合が高い。景気回復基調の中で企業における人材育成の重要性を再認識し、力を傾注することが必要。
  • 製造現場の技能の継承について,6割の企業(大企業では8割)が危機感 。危機感を持った理由・きっかけは現場の高齢化や不良品の発生、外部環境の変化など。企業では、熟練技能継承のため、OJTによるマンツーマン指導をはじめとした取組。熟練技能を有する技能者のネットワークの構築など活躍の場を整備することも必要。
  • 国際分業体制の構築が進む中、海外展開と国内雇用との関連は薄くなっており、また、国内では、高度な技能・技術を要する開発・製造が求められており、我が国人材の優位性を生かした人材育成に取り組むことが必要。

○今後のものづくりに求められる能力と人材育成の方向性
〜早い段階からのものづくりへの意識啓発と若者の能力開発の推進

  • ものづくり企業では、多能工化、改善能力などの技術・技能面の能力のみならず、事業環境の変化に対応できるリーダーシップ力や自ら考えて実践できる力などの能力が求められている。
  • 一方で、若者のものづくり職種に対する意識は低い。
  • このため、官民挙げて、若年技能者の育成や、ものづくりについて早い段階からの意識啓発を推進することが必要。また、リーダーシップを有し、市場ニーズ等にも通じた総合的なものづくり力を持つ人材の育成も必要。

第3章 「ものづくりの基盤を支える研究開発・学習の振興」の概要

第1節 産業力強化のための研究開発の推進

○ TLOの設置や知的財産本部の整備の推進により、国立大学などと民間などとの共同研究が飛躍的に増大するとともに、重点4分野中心に産業力強化のための科学技術関係の研究開発を推進。

○ 国立大学の法人化による非公務員型の弾力的な人事システムの導入や、評価機関による「第三者評価」等により、研究開発の活性化と質の向上が期待されるともに、産学連携の一層の進展が期待されるところ。

第2節 学校教育でのものづくり教育に関する取組

○ 初等中等教育
・ 工業高校等において、我が国のものづくり産業の担い手となるスペシャリストを養成すべく実践的な教育を実施。
・ 小・中・高等学校において、学習指導要領に基づき、理科や図画工作等の教科や「総合的な学習の時間」においてものづくりに関する教育を実施。
・ 「スーパーサイエンスハイスクール」や「理科大好きスクール」の推進等の科学技術・理科教育の充実のための施策を総合的・一体的に推進する「科学技術・理科大好きプラン」などを通じ、創造性に富んだ意欲ある人材の育成を推進。

○ 高等教育
大学の理工系学部の整備や高等専門学校の整備や専門職大学院制度の整備などを実施。
○ 専修学校
実践的な職業教育や専門的な技術教育などを通じ、フリーター教育も含め、ものづくり人材の育成を推進。

○ 若者自立・挑戦プラン
インターンシップや日本版デュアルシステム(実務連結型人材育成システム)などにより、若者の勤労観・職業観の醸成や就業に関わる基礎的な能力の付与を図り、若者の職業的自立を支援。

第3節 生涯学習分野でのものづくり人材の育成に関する取組

○ 大学等における社会人の受け入れや公開講座を通じ、社会人の大学等でのキャリアアップの機会を拡充。
○ 地域において、公民館、博物館や学校開放などにより、子どもたちに対する体験的な学習機会を提供。

 

 

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