このページを  保存  お気に入りへ  印刷

自動車NOx・PM法について
〜自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の
特定地域における総量の削減等に関する特別措置法〜


   

 

平成15年7月24日掲載

  1. 大都市圏では、窒素酸化物や粒子状物質の環境基準の達成状況が低く、自動車から排出される窒素酸化物や粒子状物質を削減するための対策を講じることが重要課題になっている。

  2. このような中で、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)」が平成13年6月27日に公布され、同年12月15日(別途、政令で定めるものを除く)から施行された。

  3. この法律では、一定の自動車に関して、より窒素酸化物や粒子状物質の排出の少ない車を使うよう、「車種規制」という規制が盛り込まれており、この規制によって、大都市地域で所有し、使用できる車が制限されている。

  4. また、平成15年10月以降、東京都をはじめとする独自の条例によるディーゼル車規制も始まる。とくに、NOx・PM法の対策地域内の事業者にとっては法律への対応を迫られるとともに、東京都等の条例制定地域を走行する事業者にとっては買い替えやPM減少装置の装着が義務づけされるなど規制と無関係ではない。

  5. 東京都、埼玉・千葉・神奈川県では、同法に加えて、自動車とりわけディーゼル車に対する規制を強化した条例を制定している。条例を制定している地域のみならず、全国からその地域へ乗り入れてくる車両も規制の対象となっている。

  6. 規制に対応した車両以外は、その地域での運行ができないことになり、対応するコスト負担が課題となり、結果として運賃・輸送コストアップにつながる。

  7. 今後、トラックなどの車両に対する環境規制は強化される可能性があり、加えて、都道府県条例によるディーゼル規制は、広がる可能性がある。木材物流面でも首都圏など消費地圏向けの運賃コストアップ等への対応が課題になる。

  8. なお、本法は、「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(平成4年制定)が改正されたものである。

注:NOX(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)

  • 特定地域  →3ページ目の表
  • 自動車NOx・PM法、1都3県のディーゼル車排出ガス規制の状況 →4ページの表
  • 法整備の背景 →2ページ目の表

〔詳細情報リンク〕

法律全文
「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04HO070.html

「自動車NOx・PM法の手引き」パンフレット(環境省・国土交通省:平成14年8月)
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.env.go.jp/air/car/pamph2/index.html

 自動車NOx・PM法と関連する自動車環境対策に関するユーザー相談窓口(環境省)
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.env.go.jp/air/car/mado/index.html

 (社)全日本トラック協会のホームページ → 環境対策の中に情報が掲載されている
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.jta.or.jp/

 

〔法整備の背景〕

 

大都市地域における窒素酸化物(NOx)による大気汚染は依然として深刻な状況が続いていることいから、これまで、工場等に対する規制や自動車排出ガス規制の強化に加え、自動車NOx法(平成4年)に基づいて特別の排出基準を定めての規制(車種規制)をはじめとする対策を実施してきた。自動車の交通量の増大等により、対策の目標とした二酸化窒素に係る大気環境基準をおおむね達成することは困難な状況である。

一方、浮遊粒子状物質による大気汚染も大都市地域を中心に環境基準の達成状況が低いレベルが続くという大変厳しい状況で、特に、近年、ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)については、発がん性のおそれを含む国民の健康への悪影響が懸念されている。このため、窒素酸化物に対する従来の対策を更に強化するとともに、自動車交通から生ずる粒子状物質の削減を図るために新たな対策を早急に講ずることが強く求められている。

 

〔特定地域=対象地域〕

自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法施行令 別表第一(第一条関係)

特定地域(対象地域) 参考:都府県条例
埼玉県 埼玉県の区域のうち、川越市、熊谷市、川口市、行田市、所沢市、加須市、本庄市、東松山市、岩槻市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、鳩ヶ谷市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、上福岡市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、吉川市、さいたま市、北足立郡、入間郡大井町、同郡三芳町、比企郡川島町、同郡吉見町、児玉郡上里町、大里郡大里村、同郡岡部町、同郡川本町、同郡花園町、北埼玉郡騎西町、同郡南河原村、同郡川里町、南埼玉郡及び北葛飾郡の区域 環境条例により、他都道府県の自動車も対象
千葉県 千葉県の区域のうち、千葉市、市川市、船橋市、松戸市、野田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、浦安市、四街道市、白井市及び東葛飾郡の区域 環境条例により、他都道府県の自動車も対象
東京都 東京都の区域のうち、特別区、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、西多摩郡瑞穂町及び同郡日の出町の区域 環境条例により、他都道府県の自動車も対象
神奈川県 神奈川県の区域のうち、横浜市、川崎市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、相模原市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、綾瀬市、三浦郡、高座郡、中郡、足柄上郡中井町、同郡大井町、愛甲郡愛川町及び津久井郡城山町の区域 環境条例により、他都道府県の自動車も対象
愛知県 愛知県の区域のうち、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、尾西市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、愛知郡、西春日井郡、丹羽郡、葉栗郡、中島郡平和町、海部郡七宝町、同郡美和町、同郡甚目寺町、同郡大治町、同郡蟹江町、同郡十四山村、同郡飛島村、同郡弥富町、同郡佐屋町、同郡佐織町、知多郡阿久比町、同郡東浦町、同郡武豊町、額田郡幸田町、西加茂郡三好町、宝飯郡音羽町、同郡小坂井町及び同郡御津町の区域
三重県 三重県の区域のうち、四日市市、桑名市、鈴鹿市、桑名郡長島町、同郡木曽岬町、三重郡楠町、同郡朝日町及び同郡川越町の区域
大阪府 大阪府の区域のうち、大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市、三島郡、泉北郡、泉南郡熊取町、同郡田尻町及び南河内郡美原町の区域
兵庫県 兵庫県の区域のうち、神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市、加古郡播磨町及び揖保郡太子町の区域 改正条例案を検討中

 

備考:この表に掲げる区域は、平成13年11月1日における行政区画によって表示されたものとする。
注1:「特定地域」は、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の減等に関する特別措置法」第6条にもとづき政令により定められる「窒素酸化物対策地域」及び「粒子状物質対策地域」である。窒素酸化物対策地域と粒子状物質対策地域は同一地域が指定されている。
注2:自動車NOx・PM法において特定地域として指定された区域では、総量削減基本方針に基づき、総量削減計画が定められる。また、新たに「車種規制」という考え方が導入され、より窒素酸化物や粒子状物質の排出量が少ない自動車の利用を進めるため、特定地域内で所有し、使用できる自動車の車種を制限。

 

自動車NOx・PM法
1都3県のディーゼル車排出ガス規制の状況

項 目 改正NOx・PM法 首都圏の条例(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)
制定等の状況 平成13年6月 平成12年12月(東京都)
平成13年7月(埼玉県)
平成14年3月(千葉県)
平成14年9月(神奈川県)
対象地域 首都圏、愛知三重圏、大阪兵庫圏の276市町村 ・県内全域
・島しょを除く全域(東京都)
制定等の状況 平成15年10月以降(新車については平成14年10月以降)NOx・PM排出基準に適合しない車は、対策地域内で登録ができない 平成15年10月からPM排出基準に適合しないディーゼル車の運行禁止
(※神奈川県:規制開始後半年間は取締りを実施しない)
対象車種 ・普通貨物車
・小型貨物車
・大型バス(定員30人以上)
・マイクロバス(定員11人以上30人未満)
・特種用途自動車(トラック・バス・ディーゼル乗用車をベースとしたもの)
・ディーゼル乗用車 ディーゼル車の
 ・貨物自動車(トラック・バン)
 ・乗合自動車(バス)
 ・特種用途自動車(冷凍冷蔵車等)
※乗用車及び乗用車をベースに特種用途自動車に改造したものは対象外

猶予期間

初年度登録から
小型貨物自動車……8年
 普通貨物自動車……9年
 特種車…………原則10年
 ※車齢に応じて1〜2年の激変緩和措置
初度登録から7年間
(※千葉県:NOx・PM法対策地域外のみ走行する車両の例外を認める規定あり)
排出規制物質 窒素酸化物(NOx)
粒子状物質(PM)
粒子状物質(PM)
排出基準
例:GVW2.5t超 長期規制値と同値
・長期規制値と同値 ・新短期規制値と同値(東京都・埼玉県)
平成17年4月1日以降の知事が別に定める日から
規制に適合させる手法 知事が指定したPM減少装置を装着した場合

罰則等

車検証の不交付
6月以下の懲役又は
20万円以下の罰金
運行管理者に運行禁止命令。
命令に従わない場合は、50万円以下の罰金
(東京都:氏名公表)
荷主の義務等 条例の規制が遵守されるようにするための適切な措置 →従わない場合、勧告・氏名公表

注:正式名称は次のとおり

NOx・PM法:
自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(全面改正)

東 京 都:
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都公害防止条例の全面改正)

埼 玉 県:
埼玉県生活環境保全条例(埼玉県公害防止条例の全面改正)

千 葉 県:
千葉県ディーゼル自動車から排出される粒子状物質の排出の抑制に関する条例(新)

神奈川県:
神奈川県生活環境の保全等に関する条例(一部改正)

 

 

全木連webトップへ