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失敗知識データベースの試験公開について
(科学技術振興事業団:JST)〔2003.6.6掲載〕


   


科学技術振興事業団(JST)は、科学技術分野の事故や失敗事例を収集・分析して「失敗知識データベース」を試験公開されました。

失敗知識データベースは、科学技術分野の事故や失敗の事例を分析し、得られる教訓とともに データベース化したもので、現在は、機械、材料、化学物質・プラント、建設の4分野合わせて560件のデータを収録しています。

独自の検索機能を持つINETで利用可能なステムで、一般の方でも自由に利用できます。
 現在は、「木材」関係では、次のものがありますが、今後、蓄積されることが期待されます。

  • 集材装置で伐木を巻上げ中,ワイヤロープが切断
  • 掛用繊維ベルトが切断し荷が落下
  • 集材装置の巻上げ索が切断
  • 玉掛用ワイヤロープが切断
  • 機械集材装置の巻上索が切断

    〔情報掲載URL〕
    <他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://shippai.jst.go.jp/>

 

〔ポイント〕

さまざまな失敗が多発する最近の日本を見ていると,まるで失敗のオンパレードである。なぜこのような失敗が多発するのか?そしてその失敗を起こさせないようにするためにはどうすればいいか? さまざまな組織や人が,この種の失敗が起こらないようにと一生懸命考え行動している。

最も一般的な例が失敗事例集,不具合事例集,事故事例集などを作ることである。そしてまじめな企業、組織はどこも懸命にこの種の失敗事例集を作っている。しかしそれらは少しも生かされていない。

敗事例集を作る者から見れば,十分にそれが仕事の中に生かされ,失敗を未然に防ぐことを期待しているのに、それらが生かされず同じ失敗が繰り返されるのはなぜだろうか?

その原因の1 つは“失敗知識の伝達”がうまくいっていないことである。学技術振興事業団が実施している“失敗知識データベースの構築”は,まさにこれを解決する1 つの方法を提供しようとするものである。ばらばらに集められた多くの失敗事例が生かされていない最大の理由は,失敗を防ごうと考える人に過去に起こった失敗から得られる知識が正しく伝達されていないからである。

失敗知識を正しく伝達し,その知識を獲得した人が正しく対応すれば同種の失敗は未然に防ぐことができる。それでは失敗知識の伝達に必要なものはなにか。それは失敗を生かそうとしている人が頭の中に持っている失敗“知識の構造”(ことばを変えると“文脈”・“コンテクスト”・“脈絡”のいずれでも良い)を明らかにし、それにしたがって個々の事例を記述し、失敗知識を獲得しようとしている人が検索でき,そしてそれを頭の中に吸収,定着させることができるような構造性を持たせることである。

そこで最も大事なことは“失敗知識の構造化”である。失敗知識の構造化を考えるときに最も必要となる失敗出来(しゅったい)の要素化とその表現を図1 に示す。

 



 

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