〔文責:企画部指導課・細貝〕

 

戦略ビジネスフォーラム〜流通革命:新たなる視点

 

 

日  時    平成10年10月16日(金)19:00〜20:20

場  所    五反田ゆうぽうと 503会議室

講  師    叶田事務所 泉 田 豊 彦 代表

概  要

・外貨預金は短期で見るか、長期で見るかによって視点が違い、長期で見れば多少の高低は関係ない。最近、投資信託がはやってきているが、日本に入ってくるのが遅れている。

・これまで、モーバイルコンピュータの東芝のリブレットを使っていたが、画像を多く扱うため、機能的な面で不十分になってきたことから、つい最近、ソニーのバイオを購入した。もうリブレットには戻れない。

・このバイオは、メモリーが多くつんであり、画像とか映像、音声をパソコンに取り込もうと考えて作っているので、その辺を疎かにしていない。それに対して、他のメーカーは、コンピュータは計算するものであるとして、重たく、CPUとハードディスク位に拘っているだけである。

・そうすると、ペンティアムの150とメモリーが30M程度で、会社の計算くらいは出来てしまうのである。

・使い手の側からは、一つの材料を与えたれれば何に使うか自由で、パソコンはこっちの勝手の世界に入ってきてしまっている。ビジネスの世界ではハードは既に進んでいってしまっている。

・所が、アミューズメントの世界に入ると、例えば、任天堂の世界になると、音が出て、絵は二次元から三次元になったりすると、今のコンピュータは非力である。1兆円の会社の仕事は出来てもゲームセンターで100円で出来ることが今のコンピュータにはできない。そこにビルゲイツが気がついたのではないか、ソフトの世界を制覇して、ワードとかエクセル、アクセスを作り、使いこなすことが出来ないくらいのレベルになってきている。これ以上いっても誰もついてこれないし、使いやすさの点では進歩するが、行きようがなくなってきている。経済行為があるので、開発費との兼ね合いで合わなくなりつつある。困っていたところに任天堂などがゲームを作り、一方、映画の世界ではCDやLDになってきた。パソコンに映画を入れようと思うと重たいし、スピードも遅い。

・ビジネスはおいておかれているが、アミューズメントの世界は性能を上げていかないとチャッチイものになってしまう。

・映画ではリアルでバーチャルなものが出てきているが、最もっと性能を上げていかないとよりリアルなものにならない。

・ソニーは十数年前にパソコンを出しているが、消えていった。それがドスVがでて、家電メーカーが恐る恐る出してきたが、ワード、エクセルの世界である。

・それに対し、一歩進んで、任天堂やセガは64などをどんどん出している。ワードやエクセルの世界でないすごいものを出している。それも低コストで。

・ソニーは、パソコンは音声や映像を制御するものでその中心にあるものとして、再度参入してきた。今まで作ってきた、DVDやハイビジョンのセンターとして入ってきた。そこに気がついた。所が、ビジネスでパソコンを使っている人からすれば、そんなものは玩具であり、遊びである。そんなものは邪道であるという感覚である。

・しかし、それはビックビジネスである。マイクロソフトは21世紀にはないといわれるくらいなので、これからは、エンターティーメントであると気がついている。そこに乗ったのが、ソニーの井出さんである。ソニーはそれまでに映画会社を買ったりしている。いよいよセンターに来る世界だとしてバイオを出した。実は、玩具が求められる時代である。

・最近、出版社と話したが、ビジネス本が売れない。一番売れないのはこうすると出世するというたぐいのものである。要するに会社に関わる頑張る本が一切売れない。どんな本が売れているかというと、先月でた本で半月で4万部売れたものがある。5分でピアノが弾けるというもので、これは、出版会議で出版は取りやめになる本であった。それを出してしまった結果は、売れた。何で5分でピアノが弾けるようになるかというと、パソコンをやっていたら分かるが、キボードの鍵盤にシールで色を付け赤は人差し指とか、黄色は薬指とかにし、楽譜にも色を付けた。赤は赤を押し、黄色は黄色を押すようにという本である。

・会社がどうなるかというよりも、自分の自己啓発のようなものが売れ出した。

 

・来年のキーワードを用意しているが、その一つにルールブレイカーがある。ルールを壊していく人たちのことで、過去に拘らない、決まりからはみ出るということで、しかし、四角い箱の中で四角く育った人には、はみ出ろとか、壊せとかいうのは難しい。

・過去を忘れて、楽しいものを世界的な独創的なもの(革命を起す)を作ろうというケースがで多く出てきた。

・札幌のパチンコ屋の2代目の経営者がいるが、会社に入ったのは、つぶれそうになり、呼び戻されたことからで、その前は、パチンコのメーカにいた。メーカーに入ったことにより、パチンコ屋の悩みがよく分かっていた。彼は、ある考え方の下に新しい試みを実行し、儲かって儲かってしょうがないくらいの業績をあげた。何をしたのかというと、スーパーでも売り手と買い手の気持ちが離れてきて、売上が伸びなくなっているが、買い手の気持ちにたったのである。自分がパチンコにいった場合を考え、どんなパチンコ屋がよいか、→玉がよく出るパチンコ屋である。経営的にみた場合、でるパチンコ屋は粗理が低い。

・ヘビーユーザー相手(1日2〜3万円使って、週2回以上来店する)に次にも来てもらうように玉をだし、景品交換率も100%とした。これは例がなく、こんなものはつぶれると親父や周辺の同業者が猛反対したものである。しかし、4ヶ月後に前記の結果が出て、今では北海道一になった。パチンコが好きな人は、口コミで入るパチンコ屋はどこかとの情報が広がり、出なければそれも口コミで広がる。ヘビーユーザは2〜3回通えば、よいパチンコ屋かどうかはすぐ分かるので、玉が出ればすぐ広がる。店は改装をしたわけではなく、方針を代えただけのことである。1年もすると方々の同業者が聞きにきたくらいである。正に、これは商売の原点である。通常、パチンコ屋の従業員は客が不正をしないか鋭い目付きで監視をしているが、客からみればおかしいものである。よく、店をギンギラギンにして、綺麗にすれば、客は1回は来店するが、ヘビーユーザーは出なければ来なくなる。要するに彼は、客が2度と来るパチンコ屋に変えていった。

・今、不況だからどうしょうということは考えなくてよい。今まで来ていた客が何故来なくなったかをお客の立場に考えればよいのである。

・パソコンの話しに戻ると、ソニーのバイオには、マイクロソフトのWIN98は入っているが、他のパソコンメーカーが入れているワード、エクセル等のソフトは入っていない。代わりに、ソニーの各種のソフトが入っている。ビルゲイツは、それを見てしまったと思っているのではないか。というのは、ソニーが出したパソコンにアプリケーションソフトが入っていないということは、次の時代には危ないということである。→買ってもらえるソフトを作っていない。

・今は、色々な時代の変化にあるが、中には終わったものや終わりつつあるものもある。駄目になった理由は、いらなくなったのである。例えば、ジーパン は百年前からリーバイスが売っているので、そうそう売れるものではなく、30年前にも売れなくなった時期があった。ジーパンは一人何本も持っているので売れない。どうしたかというと、タンスの中から捨ててもらうようにした。そのやり方は、古いいらないジーパンを持ってくれば、1ドルを渡すこととし、その1ドルは協会に寄付してもらうようにした。すると、たんすの中から確実に減少し、売れはじめる。その古いジーパンを日本に持ってきてた。

・豊かな時代には売り手が買い手を動かさないと動かないものである。買い手をどう動かすかは時代とともに代わる。それを時流ともいうが、単にすごいだけでは動かない。貧しい時代は買われたが、豊かな時代は無い物を買うのである。少し前の24時間風呂とか、トイレのお尻のシャワーである。不況といは行っても金はあるので買ってくれるのである。

・よく、昭和大恐慌の頃とかに似ているとかいわれているが、数字とかは似ているかもしれないが、どうすればよくなるかは全然似ていない。食品だけ買っていれば、このまま何も買わなくても生きて行けるものであり、その辺をよく考えるべきである。

・車でも今まで3年に一回買い替えていたものを、10年にすれば、2回分うくことになり、それは500万円くらいにもなる。そういうことを気がつく前に仕組まなければいけない。それが気がついても違う条件を持ってこなければならない。前よりも快適だとかのレベルでは駄目で、違うレベルのもの、それは商品別に、客層別等に違うはずで、ジーパン屋のように社会的にかっこよくする(客自身が慈善事業をしている)と売れるようになる。

・環境問題云々では動かない。ペットボトルの問題にしても中々集まってこない。例えば、1円で買い、その1円を慈善事業に寄付してもらうようなことをやればよいのではないか。ジーパンの例でも客が1ドルをほしくて動いたのではない。事前事業をやっているという社会の役に立っているということに動いたのではないか。出せる範囲の中で人が動いてくれること、「かっこいいとか」「約にたっている」とかの概念があると動いてくれるものである。そうはいっても只にすれば途端に持ってこないのである。

・豊かな時代には高いレベルの満足が必要である。しかし、モチベーションとしては低い。かといって、一等賞200万円とかでもモチベーションは低い。もっと安い金額で人が動く時代が来ているのではないか。前と同じやり方では、昔より金はかかるし効果はないので外れていく。良い方法を考えると金は掛けていなくても動いてくれる。

・長銀が大変と言っても、国はもっと大変である。後進国に対する資金貸付は戻ってくるわけがなく、不良債権であるが、国は帳面から消さないので、表面化しないだけである。国はお互いに消していないから成り立っているだけでバーチャルである。公開はしても消さないということをすればうまく行くのではないか。あれだけ赤字だといわれていた米国は経済がよくなれば誰も言わなくなるのと同じ理屈である。

・経済はストック(日本で言う不動産的なもの)からフローに代わった。もっといえば、ストックが赤でもフローが黒であればよい。マネーはストックにいかなくなり、フローにいっている。その滞在期間も短く、1日5回とかの売り買いが行われている。

・株は10時から15時までであるが、マネーは24時間動いている。しかも、ドル対どこかの肯定通貨は、どこかで動いている。

・経営的に言うと、投資して3年とかのROYが重要になってきて、投資して10年で回収するようなことはすべきではない。

・そうすると、金を掛けないことである。ビルゲイツのすごいところは、何も作っていないことで、よそで作った良さそうなものを買ってくるだけである。普通は、それを高い値段で売るが、そうでなく、使っていいよとして、利用権だけを販売した。1回しか買っていないのに、いっぱい金をもらっている。

・これがストックとフローの違いで、概念が全く違う。普通は、買って売ると金と交換してソフトを買うとすると、金がなくなりソフトが増える。そして、100で買ったソフトを200で売ると200という金が入ってくるというのが経済である。でも商品がなくなっている。彼は、100で買って1で売った。しかし、1000を売るので、1000入ってくきて、商品も手元にある。バージョンアップして出てくる(昔の名前で、化粧直しをして出てくる)。確実に前よりもよいものが安い値段で出てくる。しかし、それはゼロである。→元をとったものに色を塗り直して出てくるようなもの。

・それに近いのがフランチャイズであり、著作権である。ディズニーのミッキーマウスは70歳である。ぬいぐるみになったり、お菓子に付いてきたり、帽子になったりしている。でもディズニーにミッキーは残っている。これが著作権である。コピーを売っているようなものである。→コピーライト(ものが残っている)今までは大量に売ってもものは買い手に移ってしまう。

・コピーライトは、例え、開発費が100億円かかっても1万円で売り、100万売ればよいもので、そうすると買えない人が買うようになる。これが本当の大量生産、大量販売ではないか。自動車ではない、一つの国で100とか200万台というのはすごいことだと思うが、世界の60億を相手にしていれば、それは微々たる数字で、少なくとも6千万台を考えないといけない。

・6千万を売るためには、マイクロソフトの手法である。現在は、日本語、英語、ドイツ語、フランス語等の各国の翻訳のバージョンがあるが、次からは一つに統合され、1枚にして、最初に国を選らべばよいようになる。

・それに比べ、映画は大変である。母国語が多すぎる。各国とも第2外国語を強化して、英語にすれば経済コストは大幅に下がる。直すのは大変である。

・これからはすごいものの方が安くなる可能性がある。何故ならば、作のが一つでよいからである。

・松下幸之助が生きていれば、コピーライトこそ水道の水のような感覚の大量生産・大量販売であると思うのではないか。

・ものは安くはなっているが、まだ高い。本もそうで、最近、電子出版がでてきて、ハードを買って、本そのものは通信で100円で売るとかの試みがある。これに使われるハードは、ページをめくる時は、めくるページの方にハードを傾ければよいようになっていて、アナログ的で面白い(普通は、ボタンを押すと次のページにかわるとかの発想になりがち)。デジタルをアナログ的にすると売れるのではないか(あまり行き過ぎるのではなく、昔風を新しい技術で作る)。

・電子出版の良さは、在庫ゼロでよいことである。デジタルで物流革命が起りそうなのは、実は、在庫革命である。

・今までの大量生産・大量販売は見込んで作るやり方だった。製作コストが安くても販売コストが高いがために高いものになっていたのではないか。

・一つを作り、コピーをするということは、コピーが作ることと同じことであり、しかもそのコピーはお客がやってくれる。例えてみれば、クラウンを買った人がトヨタの工場に行って、自分で作るようなものである。

・そうすると、ラインだけを用意しておいて、部品はお客が選び、自分で組み立てていって、出来たらお客が自分で運んでいってくれるようなものであり、買い手がほとんどすべてを負担するもので大革命である。

・例えば、ニューヨークの食品スーパートウモロコシ売り場では、ごみ箱を置いておく→顧客がトウモロコシの皮を剥いてよいものを買う →今までは店が皮をむいて、品質を管理していた=店の仕事だった→顧客が只でやる=自分が好きなものを買えるので、苦痛ではなく、喜んでくれる。これからは、お客が只働きをして喜んで買ってもらうような方法を考える必要がある。

・ある時、メルセデスとポルシェを視察した際、配送の所まで見たが、そこで目についたのは、お客が自分で購入した車を引取に来ていた。中には米国から来ていて、期待感を持って待って、自分の車が出てくると嬉しそうに何度も触っていた。あんなに嬉しそうに引取に来てくれるのに、メーカーが金を掛けて運ぶことに疑問を思った。車を買うのはいってみれば、家を買う次くらいのもので、家を買わない人にすれば人生最大の買い物であるから、こんなにすごいものを買ったということを廻りの人に見てもらいたいのではないか。そうすると、車を取に行く前に、近所や子供にいい車が来ると話し、きた時に近所の人を集め、凱旋門や幟をその駐車場の前にメーカーが販促品として用意して、後、オプションでプラス幾らで楽隊付とか、模擬店とか拍手する人とかの各種のメニューを用意しておく。→買った人には一生の思い出といて残る。人々の喜びと金の払方が変ってきている。

・結婚式でも金を掛けなくなってきているが、今までにない新しい喜びには金を使う。

・時間がなくて見学できなかったが、最近、ニューヨークで棺桶屋がはやっている。いろいろな種類の棺桶を用意しディスカウト価格で販売し、はやっている。

・豊かな時代では何をしても無駄ということになり兼ねないが、それでは沈滞する。新しく喜んでもらう無駄、喜んでもらえれば無駄ではなくなるので、そういうものを考えるべきである。

・求めるものが変っているので、それを経済の不況と見るのではなく、姿形を変えて出していくことが大切ではないか。

・ビルマッケイというソシアルワーカーをして、金儲けも好きなの人が、ある時、新聞広告で花のフランチャイズをみて、飛びつき店を始め、10店位になった。その頃に、テキサスの通販のフライチャイザーになったが、その通販会社の経営が悪化し、売りに出てきたので、社長になるのは断ったが、会社を購入した。ケロッグが新製品を出した時に提携して、その新製品を買った時にバラ1ダースを半額にする券を出し、全米から注文が沢山入ってきた。すると全米から注文がきた。その内、湾岸戦争が始まり、TVの視聴率は28%もあるのにスポンサーがほとんど下りてしまった時、通常の1/10のコストでスポンサーになり、戦争の実況中継の合間に、タキシードで赤いバラをもって、故郷に残された家族に花を贈りましょうというコマーシャルを流したところ次の瞬間、世界中から電話で注文が殺到した。そうやって、世界一の花屋になっていった。

・ここでのポイントは、ゼロからスタートをしていないこと、ほかで作ったものを買って、それをワークすることをして発展させたことである。新しいタイプの経営者で、ドメインを変えると売り方が代わるようになる。INETでも花を買えるようにして、その売上は17%程度(50億円)にもなってきている。

・電話で花を注文をしてくる7割が男であり、男は店には来ないが注文をしてくるので、商売のツールも代える(これまで3回)。ゼロから造っていないからそれができるのかもしれない。ゼロから造ると愛着や思い出があるのでそれが邪魔するのではないか。拡大したりする時は、何かに乗るようにして、ゼロからやらない方がよいかもしれない。

・最近、自費出版でCDを作成したが、これのよいところは、在庫がゼロでもよく、申込があれば作っていけばよく、少量でも安く出来ることになる。今までの概念から見れば大変なことであった。また、1回作っておけば、少し変えれば全く違うものができるので、言ってみれば、1回作っておけば、隣に半熟のものが出来ているようなものである。時間当たりの生産性は非常に高い。

・時代が変ったのであれば、自分も変らなければいけない。

・これからは、今までの概念で言うと原価ゼロの世界が沢山でてくる可能性がある。ルールブレイカーで忘れっぽい人が勝つかもしれない。記憶力悪い方がよい時代になるのではないか。21世紀にボーとした人が社長になってくるかもしれない。3年計画はあってもよいが、10年計画などは意味を持たない。