2−1 木造住宅関連についての質問 と回答

Q 2−2.2 木造住宅実大振動実験が行われたと聞いたのですが。

A1
  (財)日本住宅・木材技術センター(理事長:岡勝男)は、木造住宅の耐震性を確
 認するとともに、今後のより良き耐震設計のためのデータを得るために、平成7年
 11月下旬から12月上旬にかけて、(財)原子力発電技術機構の香川県にある多度津試
 験所で、木造軸組工法住宅に対して兵庫県南西部地震で観測された最も大きな地震
 動を加え、どのような変形、歪みが生じるかを測定する実験を行いました。

 2
  木造軸組工法住宅の耐震性に関しては、現行の建築基準法に定める基準を満た
 し、極端に大きな窓や大面積の部屋等を設けていない間取りの木造住宅であり、か
 つ、適切に施工されていれば、阪神・淡路大震災と同程度の揺れを受けても倒壊す
 ることはなく、大きな被害を免れ得ることが明らかになるとともに、筋かいや補強
 金物の有効性が改めて確認されました。
  この結果からも木造住宅は地震に対し決して弱くはないことが証明されました。

 

           《実験結果の概要》

1.試験体の耐震性能
  A棟、B棟とも、地震波による最初の加振実験では、内外装材にわずかなひび割
 れ程度の被害しか生じなかった。また、内外装材等を撤去して建物の剛怯をかなり
 低下させた最終的な実験でも、残留変形角が1/200程度とさほど大きくなかった。
  このことは、現行耐震基準で要求されている壁の量を持ち、接合部を金物等で緊
 結し、かつ常識的な間取りの軸組構法の木造住宅は、兵庫県南部地震(阪神・淡路
 大震災)のような極めて強い地震に対しても、大きな被害を免れ得ることを示して
 いる。また、このことは、これらの試験体においては非耐力要素の効果が一般に見
 込まれている1/3よりもはるかに大きいことを示唆している。

2.加振に伴う建物各部の応答加速度
  神戸海洋波の加振に伴って生じる最大応答加速度値をみると、A棟、D棟とも早
 い段階のフェーズの時に最も大きな値を示している。この値を2階天井の位置でみる
 と、最大で2,300ガルで、入力地震動818ガルの2.7倍の増幅率であった。このこと
 は健全な状態の木造住宅が、極めて大きな水平力に耐えられることを示している。

3.加振に伴い筋かい及び柱に生じた応力
  A棟、B棟のすべての実験を通じて、筋かいの軸力の最大値は、圧縮で6.5t、引
 張りで3.6tであった。同じく柱については、圧縮で3.2t、引張りで4.7tであった。
 かなり大きな軸力が働いていることが分かった。

4.柱脚部の浮き上がり
  柱脚部の浮き上がりの最大応答値は、実験回数を重ねるにつれて大きくなる傾向
 を示した。その最も大きな値としては、A棟で33mm、B棟で51mmを示した。
  しかし、最初の突吸でホールダウン金物で4隅を締めたときの実験では、A棟で3.5
 mm、B棟で1.5mmと小さな値に留まった。

5.接合金物の効果
  本実験では、加振中における建物の瞬間的な最大変位が400mm程度もあったにもか
 かわらず、加振終了後における残留変位ほ20〜30mm程度とかなり小さかった(いず
 れも軒の位置での変位)。これは、試験体にZマーク等の接合金物を用いているた
 め、接合部が大変形を起こしてはずれるようなことが少なかったためと考えられる。

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