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林材業の労災保険の改定について(H15.4.1実施)

   

平成15年 2月20日
林材業ゼロ災推進中央協議会
木材・木製品部会長
〔事務局:(社)全国木材組合連合会〕

労災保険料率等の改定について


厚生労働省は、平成15年2月19日、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」についての労働政策審議会に対する諮問及び答申について、次のとおり公表されました。

  1. 厚生労働省は、本日、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会(会長 西川俊作 慶應義塾大学教授)に諮問し、同審議会労働条件分科会労災保険部会(会長 保原喜志夫 天使大学教授)において審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に対して、別紙1(省略)のとおり答申が行われた。
  2. 厚生労働省としては、この答申を踏まえ、今後省令の制定に向けて作業を進めることとしている。

〔概要〕

  1. 労災保険料率等の改定について  
     労災保険率等については、平成13年4月に改定したところであるが、近年、労働災害が大幅に減少していること等により、労災保険の引下げが可能な状況にあるとともに、今日の経済情勢の下で相対的に負担感が増している状況にあること等から、速やかに労災保険率等の見直しを行い、平成15年4月に改定することとする。
     事業の種類別の労災保険率の改定は参考1(省略)のとおり、第二種特別加入保険料率は参考2(省略)のとおり、第三種特別加入保険料率は、1,000分の5(現行1,000分の6)に、改定する。
     また、「木材伐出業」及び「その他の林業」においては、作業の実態、業界事情等を勘案し、事業の種類を統合し「林業」とする。
  2. 介護(補償)給付の限度額等の引下げについて(省略)
  3. 障害(補償)年金受給権者の定期報告に係る診断書添付の廃止について(省略)
  4. 施行期日  平成15年4月1日

〔林材業関係の料率〕

林 材 業 の 業 種 現 行 料 率 平成15年4月1日からの新料率
木材・木製品製造業 千分の 23 千分の21〔8.7%の引き下げ〕
木材伐出業 千分の133 統合して「林業」とし千分の59
その他の林業 千分の 39
林業における1人親方 千分の 53 千分の51〔3.8%の引き下げ〕

 注:林業の業種統合後において、有期事業、継続事業、メリット制などの制度の扱いは
   現行制度が適用されるので、これまでと同様であり、変更はない。

 

 一方、木材・木製品製造業の労災保険収支率は、平成3年度の86.5%から、年々上昇傾向で推移し、平成13年度は労災保険収入額が139億円、支出が183億円と44億円の赤字となったことから、収支率は132.0%と前年の131.6%よりは微増し、依然として危機的な水準となっております。もっとも、木材木製品の労災保険収入は平成9年度までは200億円を上回っていたので、収支改善には、ゼロ災の推進に加え、経営改善及び労災保険の納付率の向上を図ることが重要であるともえます。

 今回の労働災害保険の料率改定により、木材・木製品製造業は、引下げになったところでありますがこの千分の21の料率は、製造業の中ではワースト3にランクされ、製造業で最も低い業種の千分の5に対し、4倍強の料率となっており、危険な業種の実態にあります。死亡災害が1人発生すると、労災保険の会計から約5千万円が支出され、保険収支に大きく影響することになります。

 木材木製品製造業の労災保険料率は、本部会の活動が評価され、昭和56〜平成6年度の 千分の26から、

平成7〜9年度
平成10〜14年度
平成15〜17年度
千分の24
千分の23
千分の21
〔2ポイント引下げ(年間15.2億円の負担軽減)〕
〔1ポイント引下げ(年間7.6億円の負担軽減)〕
〔2ポイント引下げ(年間12.1億円の負担軽減)〕

となっています。

 しかし、逆にいえば、保険収入がその分減少するので、災害を引下げ率以上に減少させないと収支率は悪化することになります。事実、平成11年度以降の収支率は、130%を上回る水準にあり、平成15年4月からの引下げでさらに収支は大きく悪化することが予想され、極めて憂慮されます。

 ゼロ災を実現させれば当然、保険料率が大幅に引き下げられ、個別事業所の負担が軽減されることになりますので、木材・木製品製造業の労働災害防止の観点から、木材・木製品製造業界が一致団結してゼロ災運動・収支改善対策の推進等、抜本的な改善を図り、魅力のある産業としていくことが重要であるといえます。

 このようなことから、今後、林材業ゼロ災運動、労働災害防止対策、労災保険収支改善対策は、末端事業場まで含め、気を引き締めた災防活動を強力に実施することが極めて重要であります。

 なお、今回の料率改定の経緯を踏まえ、林業及び木材・木製品製造業ともに、林材業ゼロ災推進中央協議会と林材業労働災害防止協会と十分連携を図り、実効ある災害防止対策の推進に向けた取組みを展開していくこととしておりますので、申し添えます。

(担当:角谷、細貝)

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