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モデル地域岐阜広域
対象流域一覧

宮・庄川流域、長良川流域、飛騨川流域、揖斐川流域、木曽川流域

参加事業体

岐阜中央森林組合、揖斐郡森林組合、中濃森林組合、郡上森林組合、東白川村森林組合、加子母森林組合、飛騨高山森林組合、飛騨市森林組合、小坂町森林組合、南ひだ森林組合、中原林業、岐阜県森林組合連合会、長良川素材生産協同組合、親和木材工業(株)、桑原木材工業(株)

森林・所有者情報データベース事業運営者

岐阜県森林組合連合会

担当コンサルタント

富士通総研(株)

 
概要

岐阜県は森林面積が87万ha、針葉樹人工林面積が31万haと屈指の森林県であり、人工林資源の成熟化も進んでいます。ところが、素材生産量は30数万m3と10年前に比べて半減し、製材加工も零細工場が多く、点在しています。
そこで、山元の生産力を強化して原木の安定供給体制を整備し、それを基盤として加工事業体の製造力強化を進めています。
山元の生産力強化については、森林組合の経営能力を高めて施業の集約化を促進するとともに、高密路網の整備、高性能林業機械を活用した作業システムの普及を図っています。
製材加工については、既存工場の能力アップを図るほか、施設整備を行う大型工場の経営に関して有力国産材メーカーの経営指導を受け、高品質製品の製造と販路の確保を実現しています。

加工事業体

飛騨高山森林組合、親和木材工業(株)、桑原木材工業(株)

加工事業体の素材受入量の現状と目標
取り組み内容
素材生産の強化策

非皆伐を前提とし、将来的に間伐で10m3/人日(4,500円/m3)の生産性実現を目指しています。ただし、この目標は間伐2順目(50年生程度)で達成することとし、当面は6m3/人日(7,500円/m3)を目標としています。生産システムとしては、高密路網の整備とプロセッサによる造材を基本とする傾斜地モデルの開発・普及に当面は取り組んでいます。
間伐を効率的に行うためには森林組合による施業の集約化が欠かせません。そのためにはそれぞれの森林組合が経営能力を身に付けることが絶対条件となります。具体的には、人件費や間接費を正確に把握し、原価計算を行えるようにしなければならなりません。それができて初めて森林所有者に適切な見積もりを提示することができ、集約化を図ることができます。さらに組織としてのレベルアップを図り、施業や経営を適切に行うためには職員の士気を高めることも必要です。そうしたことを踏まえ、参加森林組合への経営指導に力を入れています。

素材の安定供給対策(直送等)

岐阜県森林組合連合会の「システム販売」を活用して原木の安定供給を図っています。システム販売は県森連内に設置した「岐阜木材ネットワークセンター」が実施しているもので、通常の市売にかける原木とは別に、顧客からの注文材を仕分けし、センターが決めた価格で定価販売しています。対象はスギ・ヒノキの並材で、センターに登録した会員が対象のサービスです。
材の流れは、共販所の土場にいったん集積して販売するケースと、山元近くの中間土場に集積するケース、山元から顧客の工場に直送するケースなどがあります。出荷者が支払う販売手数料は5%(通常の共販では8%)、買方は2%の斡旋手数料を支払います。共販所の土場を活用する場合の積み込み料は500円/m3(通常の共販では900円/m3)です。出荷者は通常の共販よりも安い手数料で原木を販売することができ、買方はセリや入札に参加せずに必要な丸太を確保することができます。

材木加工の強化策

岐阜県は有数の林業産地ですが、製材加工施設はいずれも零細で、従来、国産材関係では年間原木消費量が1万m3を超える工場が1社しかありませんでした。そこで加工事業体として参加する親和木材工業(株)、桑原木材工業(株)、飛騨高山森林組合の各工場の製造能力を強化し、加工コストの削減や品質性能の向上を進めています。
親和木材工業(株)は南洋材広葉樹を原料として無垢のドアを製造してきましたが、近年、国産材の加工にも参入し、ミニキットハウスなどの商品を開発しています。新生産システムでは、スギ用の製材ラインとドア製造設備を新たに整備します。製造するのは構造材、ドアのほか、付加価値の高い新たな商品開発にも取り組んで行きます。ドア製造で培った乾燥のノウハウを活用し、品質の高い製品を製造して予定です。
桑原木材工業(株)は周辺の小規模事業体と連携し、協同組合方式で乾燥設備を整備し、品質の安定した乾燥材の製造に取り組んでいます。
飛騨高山森林組合は平成18年度に最新の高速製材ライン、乾燥機を導入した年間原木消費能力30,000m3の製材工場を新設しました。製造品目は柱、梁桁、間柱などです。有力国産材メーカーの(株)西村木材店(三重県)から技術指導を受け、生産コストの削減、乾燥品質の向上、販路の確保に取り組んでいます。

製品の販路確保策(マーケティング)

親和木材工業(株)では、付加価値製品であるドアを製造販売してきた経験を踏まえ、市場が何を求めているかの把握に努めつつ、品質を最重要視した「売れる」商品づくりに取り組んでいます。同社では南洋材から国産材へのシフトに社運を賭けて取り組むことにしており、全社一丸となってスギの利用開発・販売促進を進めています。
桑原木材工業(株)では、乾燥材の生産による競争力強化を図るほか、乾燥ノウハウを有する親和木材工業(株)へのグリーン材供給なども行っています。
飛騨高山森林組合では、技術指導を受ける(株)西村木材店に製材品をOEM供給し、同社の販売ルートを生かして大手住宅メーカーなどへの拡販を図っています。

全体推進対策

加工施設の能力アップ、品質向上、販売促進等、すべての取り組みのベースになるのは原木の安定供給です。そのため、まずは山元の生産力を強化し、原木の大量安定供給システムを構築することを最重要課題として取り組みを進めています。具体的には、施業の集約化などで中核的な役割を担う森林組合に対する経営指導に力を入れています。そのため、専門の経営コンサルタントによる経営分析や指導を行うほか、現場作業については、施業の集約化や効率的な施業で実績のある日吉町森林組合(京都府)や森林文化アカデミーが指導を行っています。組合長などの経営陣に対する意識改革を目的とした研修も実施しています。

岐阜広域モデル地域の供給フローチャート