再生可能エネルギーの全量買取制度に関するオプションについての意見

経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を拡充する(現在は太陽光発電のみ買取り)ため、「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」において、再生可能エネルギーの全量買取制度の導入を検討。その議論を踏まえ、「再生可能エネルギーの全量買取制度に関するオプション」を公表して意見を募集しています。

全木連からの以下の内容の意見を提出しました

PDFファイルはこちら

意見内容

1 買取対象について

買取対象は基本的には「あらゆる再生可能エネルギー」が望ましいと考えます。(ケース1)

第一に、新設・既設の別について、C2のように「新設のみを対象とする」というように限定すると、先導的に導入を図ってきたものが除外されることとなり、問題があると思います。

第二に、バイオマスエネルギーについては「導入効果があるもの」という視点から「林地残材など未利用バイオマスエネルギーに限る」という選択肢が検討されているようですが(参考資料1 A2についての説明)、この点をあまり限定的にすると、以下のような問題が生じる可能性があります。

  1. 導入実態をみると、木材業界の既設の木質系バイオマス発電施設の場合には、貯材施設等に林地残材的なものも含めて搬入され、これらの利用や、マテリアル利用不可能な工場残材も含めて、発電原料とせざるを得ない等が実態であり、林地での残材とその他の過程での生じた副産物をわけるのは難しい。
  2. また、ケース3,ケース4のように、買取対象がバイオマスについて未利用に限定されたままで、コストに対する配慮がなく、価格設定が原則一律され他のエネルギーとの競争下におかれることになれば、バイオマスエネルギーにとってきわめて不利となります。
  3. 「現在利用していない」とされるもののみ買取り対象とする場合、現在の利用している製紙や繊維板などの原料と、エネルギー原料との間の競争が阻害される形となり、木質バイオマス全体の価格が低位に抑えられる可能性があります。
2 木質バイオマス発電についての望ましい選択肢

木質バイオマスのエネルギー利用については、マテリアル利用をした後で進めるべきであるという主張は理解しますが、その理由でマテリアル利用とエネルギー利用の市場での競争を阻害する制度を持ち込むことには慎重になるべきです。また、未利用の木質バイオマスの利用を進めることはきわめて重要な課題であるので、その場合は政策的な理由で未利用であることが明確な木質バイオマス資源については(太陽光発電のように)、他のエネルギー資源より高い価格設定をするということも考慮すべきです。

上記のことから、あらゆる再生可能エネルギーを対象とし、一律の価格設定をしながら(ケース1をベース)、一定の例外を設け、未利用バイオマスの利用などきわめて政策的に重要なもので、かつ価格低減効果があるものは例外として、コストに応じた価格設定をするという方法をとったらどうでしょうか。

全木連webトップへ