このページを  保存  お気に入りへ  印刷

シックハウス問題について

     全木連では「木材は環境に優しい、安全な資材であり、究極の環境資源である。」と主張し、木材需要の拡大を積極的に推進しているところであるが、近年、シックハウス症候群*などで建築物の内部での健康問題が懸案化してきたことから、平成8年以降、都道府県木連等に積極的に情報提供を行うと共に所要の対応を行っているところである。

*シックハウス症候群(Sick Building Syndrome):建材等からの揮発性有機化合物によって住宅の室内空気が汚染され居住者の健康に影響を及ぼすという問題。シックハウス症候群の症状としては頭痛や疲労感、筋肉痛や関節痛のほか、微熱、のどの痛み、視力障害、集中力の低下、不眠、皮膚のかゆみなどがある。主なものとして、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン等の揮発性有機化合物・木材保存剤・可塑剤・防蟻剤などがあるといわれている。

〔これまでの経過と対応〕

  1. 近年、シックハウス症候群などで健康住宅が話題になっているが、平成8年に、建設省、林野庁、通商産業省及び厚生省の4省庁、関係団体、学識経験者等が参加して「健康住宅研究会」(事務局:(財)住宅・建築省エネルギ−機構、現 (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)が発足した。同研究会では2年間に渡り調査研究を行い、平成10年4月24日、「室内空気汚染低減のための設計・施工ガイドライン」と「ユ−ザ−ズマニュアル」をとりまとめ公表した。

  2. (財)日本住宅・木材技術センターでは、「木質建材環境問題委員会」(健康住宅研究会の分科会としても機能)を設置して検討し、平成10年3月、木質建材環境問題委員会報告書として、「木質建材のホルムアルデヒドに関する放散性と安全対策」及び「保存処理木質建材に関する薬剤成分の揮散性と安全性」を取りまとめた。さらに11年8月、「木質建材環境問題委員会報告書」として3年間に及ぶ研究の成果をとりまとめ、木質建材から放散されるホルムアルデヒドの室内空気濃度を低減するための具体的な対応策と木材のホルムアルデヒド放散量に関する基準を提案した。これに基づき平成12年6、7月に合板等のJAS規格改正が行われた。

  3. 平成12年6月、建設省は「室内空気対策研究会」(委員長:今泉勝吉工学院大学名誉教授)を発足させたことから、その重要性に鑑み、全木連は委員として研究会に参加している。この研究会は、学識経験者、関係省庁(建設省、厚生省、通商産業省、労働省、林野庁)、関係団体の参加により、平成12年度から住宅室内の空気環境に関する全国レベルの実態調査(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、アセトアルデヒドの濃度について、全国レベルの調査)を実施している。〔スチレンは13年度に追加。アセトアルデヒドは14年度に追加〕

  4. 平成12年6月より厚生省(現:厚生労働省)は「シックハウス(室内環境汚染)問題に関する検討会」を開催し、「シックハウス症候群」の複数の有機化合物の指針値を定めるなどの中間報告書を数次にわたり取りまとめた。特に12年秋に厚生省が、VOC(揮発性有機化合物)総量の指針値についてのパブリックコメントを行った際には、全木連から、都道府県木連に意見提出を要請するとともに、11月24日、厚生省に対し、VOCの総量からテルペン類を外すよう意見提出その後も林野庁と連携を取り、12月13日、再度、要請した。厚生省は、全木連等からの強い要請である「木材から発散されるテルペン類は古来より健康に有用な効果がある」という主張に配慮し、TVOCの空気質指針の考え方の修正を行い、要請行動による一定の成果を得ることができた。

  5. 全木連は、平成13年度からの森林総合研究所における「製材のホルムアルデヒド放散量に関する実験」に対して、平成13年度には針葉樹7樹種、広葉樹3樹種の資材の提供を行った。

    VOC:揮発性有機化合物:volatile organic compound  有機化合物のうち、低温で蒸発する(揮発性の高い)ものを指す。木材をはじめとして、様々な天然物、建築物に用いられる建材や内装材、家具や家電製品などの什器類からは多種多様な揮発性有機化合物が放散している。TVOC:総揮発性有機化合物:Total Volatile Organic Compounds VOCの総計。

 

全木連webトップへ