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アンディ・ロビー: 本日は、イギリスの貿易界の違法伐採への対応についてお話する。私は、熱帯林の専門家で、世界各国で19年にわたり活動してきた。現在では英国木材貿易連盟(TTF)でCSR、企業の社会的責任という部門を担当している。

イギリスは違法伐採の問題に対して取り組む先進的な国の1つである。1998年のバーミンガムのG8会合において、イギリスは声明文の創案をした。そして2000年7月には、政府で調達政策、調達方針を採択した。また、閣僚級の代表者をアジア及びアフリカのFLEGに派遣している。インドネシア政府との間に、画期的な覚書を2002年に締結した。EUにおいては、新たな法律の制定に向けて政府と貿易界、NGOが一丸となって取組みを行っている。

最初に、イギリスの木材貿易、市場の推進力、そしてイギリスの貿易界がどのように対応を行ってきたか。今までにどのような教訓を得ているか、なぜ日本がその中で大事なのか、そして、日本ではどのようなことができるかといったようなことを、私の発表の骨子といたしたい。

まず第1に、イギリスの木材貿易について。イギリスの木材貿易の歴史は、恐らく世界で最も古いと言っても過言ではない。木材輸入業者、取引業者の中には、350年以上も操業しているものもある。現在、イギリスは世界で第3番目、あるいは第4番目の木材の輸入を行っている国だと考えられている。毎年1,750万立方メートルの木材が消費されて、そのうち71%が輸入である。ところが、そのうちのたった6.5%が熱帯性気候の地域からの木材である。

イギリスが輸入している木材の多くはよく管理された、そして合法的な森林から来ているが、違法伐採という問題は、依然として、イギリスの木材貿易において、大きな位置を占めている。それについては、後ほど詳述する。

現在、イギリスでは多くをプランテーションから得られた木材を加工した形で利用している。また、サプライチェーンに関しても、より厳しく管理している。そして、サプライヤー(供給業者)と取引業者との間に、より緊密な関係を築きつつある。その貿易では、DIYあるいは建材業者などで堅固になっているという形態が見られる。そして、その力関係というのは、サプライヤーよりも最終的な消費の段階に移行しつつある。つまり小売業者の側から、貿易業者に対して、何が必要か、何が欲しいかといったことを伝えるようになっている。

もう1つの状況として、熱帯地域の木材というのが、非常に特別なニッチ市場を形成する高付加価値の商品となっていることである。違法伐採の問題は、1998年に現実的な問題として浮上した。その熱帯木材が割合としてはわずかであるにもかかわらず、ここに問題が存在すると考えて2002年4月に行動規範をつくり、合法的で持続可能な木材しか貿易の対象にしないというコミットメントを立てた。

サプライチェーンの一番の始まりというのは、木の種子が発芽したところから始まり木が成長して、いずれ伐採が行われ、切り株に行き着く。さまざまな手段を用いて、製材所に丸太が運ばれていく。インドネシアにおいては、川を使っての木材の輸送も行われている。そして、丸太が工場で加工され港湾から輸出される。

イギリスで操業しているある会社のロジスティカルチェーン(物流チェーン)をあらわした図を示す。これを見ると非常に複雑で追跡をするのが難しいが、このような複雑な流通経路を通って木材というものが取引をされているということを理解するのは、重要なことであると考える。この1つひとつの地点が、いわば監視地点となる。これらのどの地点からでも違法伐採された木材が入り込む余地がある。

 

 

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